こんにちは、北海道M&Aセントラルグループの藤田です。
M&Aに関しての有益な知識をお伝えしていければと考えております。
本日は「ロックアップ後の前経営者の事業活動では制限は発生するのか?」に関してお伝えしていきます。
先日のコラムで、ロックアップ(キーマン条項)を契約に盛り込むことで、
譲渡後も事業経営が順調に進行するよう前経営者に活躍していただくというスキームをお伝えしました。
また、ロックアップ中に前経営者が事業収益最大化に向けてモチベーション高く動いていただけるような
アーンアウト条項についてもお伝えしましたね。
そして、今回は、ロックアップが終了し、前経営者がいよいよ譲渡事業から離れ、自由になった時、
その後どのような事業活動をしても問題はないのか?というテーマです。
競業避止義務の存在
下記、会社法第21条「譲渡会社の競業の禁止」で定められている内容です。
事業を譲渡した会社(以下この章において「譲渡会社」という。)は、当事者の別段の意思表示がない限り、同一の市町村(特別区を含むものとし、地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項の指定都市にあっては、区又は総合区。以下この項において同じ。)の区域内及びこれに隣接する市町村の区域内においては、その事業を譲渡した日から20年間は、同一の事業を行ってはならない。
2 譲渡会社が同一の事業を行わない旨の特約をした場合には、その特約は、その事業を譲渡した日から30年の期間内に限り、その効力を有する。
3 前2項の規定にかかわらず、譲渡会社は、不正の競争の目的をもって同一の事業を行ってはならない。
まとめると、事業譲渡を行った会社は、20年以上同一の事業を行なってはならないということになります。
会社法第21条ではあくまで事業譲渡を行った会社が主語であり、会社譲渡(株式譲渡)の場合はどうなの?ということになります。
株式譲渡に関しては法的な明記はありませんが、いずれにしても事業譲渡、会社譲渡ともに、M&Aの最終契約において規定することが一般的です。
ただ、逆に譲渡側、譲受側双方が納得すれば、競合避止義務の内容を特約で排除することも可能です。
結論、ロックアップを終了した前経営者は、基本的には譲渡された事業と同一の事業を、同一のエリア内で行うことは難しいということになります。
ですから、事業譲渡後、同じような事業を同じエリアで行おう、と考えることは避けた方が良いですね。
(そもそも、その事業から離れたくて譲渡しているはずなので、おおよそ心配はありませんが..。)
関連性のないような事業であれば、全く問題なく事業活動を行うことが可能です。
本日は以上です。