こんにちは、北海道M&Aセントラルグループの藤田です。
今回は、役員退職金が役員賞与扱いになってしまうケースについてお伝え致します。
役員退職金は、会社売却においては一つの節税方法に当たるとご説明しました。
しかし、役員退職金と考えて支払った分が、
退職金扱いにならず、賞与扱いになってしまうケースもあります。
仮に賞与扱いになってしまった場合、以下のような課税が発生してしまい、
退職金の節税メリットが失われてしまいます。
譲渡企業:支給額全額が損金不算入となる
源泉徴収漏れが発生する
受け取る個人:支給額全額を給与収入とした給与所得課税
所得税の軽減などのメリットが、無くなってしまうことになりますね。
では、実際にどのような状況で、役員賞与扱いとなってしまうのでしょうか?
経営上の主要な地位から外れていない場合
主要な地位から外れる、とは
1、契約書への押印や、稟議の決済者になっていないこと
2、人事に関して最終決裁権をもっていないこと
3、銀行関係との取引で融資の交渉を行なっていないこと
4、営業などにおいて主要な判断や、責任を担っていないこと
5、取締役会、経営会議などの重要な会議に参加していないこと
このような事項を守っているという前提となります。
また、退職した役員が、顧問等として一定期間業務引き継ぎのために会社に残るケースは、
役員退職金を損金参入するために報酬も以前の金額から半額以下にしておくとより安全となるでしょう。
代表取締役が常勤の取締役で残る場合
報酬を以前の金額から半額以下にしたところで、
常勤の取締役で残っている場合は、実態的に退任したという説明は難しく、
役員退職金は、役員賞与として扱われてしまう可能性が高いです。
ですから、役員退職金を出し、譲渡後にまた取締役に就任することは避けた方が良いと言えます。
譲渡後に何らかの形で買い手企業に役員が残るケースは多くありますが、
退職金を出すのであれば、この点を抑えて考えていった方が良いでしょう。
本日は以上です。