こんにちは、北海道M&Aセントラルグループの藤田です。
今回は、譲渡側(売り手)の立場から見る、M&Aのメリットについてです。
譲渡側のメリットの一つ目は
「経営者様(株主)の金銭的見返りが大きい」という点です。
一般的に会社を畳みたい、と考えるときには廃業(清算)が真っ先に頭に浮かぶかと思いますが、
M&Aと廃業を比較したときに、その金銭的見返りの差が大きいことが分かります。
1、営業権(のれん)の価値
廃業とは、一般的に会社を畳むのでその会社の営業を停止することを意味します。
その場合、会社にあるノウハウ、取引先や販売先との関係性、既存の商流が全てゼロとなります。
しかし、M&Aはそれらのものが全て継続して生きることで、譲受企業が引き続き営業活動を行うことが可能です。
ですのでM&Aの場合は、廃業とはちがい「営業権(のれん)」が譲渡金額の算定に上乗せとして計算されることが一般的です。
業種によりその価値は上下しますが、例えば営業利益2年分が純資産に上乗せし譲渡金額算定、という場合がございます。
廃業時の清算金との大きな差が発生する原因の一つとなります。
2、M&A(株式譲渡)と清算(配当所得)の税率の違い
一つの形として株主が株式譲渡を行うことで、M&Aが成立します。
株式譲渡に関する課税は、分離課税(他の所得などを考慮せず単独で税額決定)で20.315%となります(2021年1月現在)。
例として約20%の税率と考えると、株式譲渡金額が3億円となる場合は税金を支払ったあとに残る金額は2億4000万円となります。
一方、清算の場合は配当所得となり最大約50%の税率となり、株式譲渡の約20%の税率と比較しても、非常に大きな差があることがわかります。
清算の際はその配当所得の大きさに応じて税率は変化しますが、おおよそ株式譲渡の方が税金が安く済むという事例が往々としてございます。
「では当社の場合税率はそれぞれどうなるのだろうか?」
「廃業の選択を考えていたが、M&Aの場合どうなるのか?」
という疑問をお持ちの経営者様にこれまで多く出会って参りました。
是非、お気軽にご相談下さい。企業評価の算定とともに、このような税率となりますということをお伝え致します。
3、有形資産の処分・従業員への補償などのコスト
M&Aの場合、会社にある有形資産、そして従業員は譲受企業に引き継がれるのが一般的ですが、
廃業の場合はそれら資産の処分コスト、従業員に対しては次の就職が決まるまでの補償などが必要となります。
会社を畳むとは一言でいえど、あらゆるコストがかかってしまうのです。
以上、M&Aと廃業(清算)の金銭的享受の差に関するコラムでした。
【譲渡側】M&Aのメリット 2 へ続きます。