M&Aコラム

【総論】企業価値算出方法ーインカムアプローチー②収益還元法

こんにちは。北海道M&Aセントラルグループの藤田です。

 

今回も引き続き、M&Aにおける企業価値/事業価値算出方法における大別した3つのアプローチのうち

1つ目にあたるインカムアプローチに関してお伝えさせていただければと思います。

(大別した3つのアプローチの総論記事はコチラ【総論】企業価値・事業価値の算定に関して )

 

インカムアプローチをさらに大きく3つに分けることができる、と前回お伝え致しました。

・DCF法

・収益還元法

・配当還元法

今回は、二つ目にあたる収益還元法について詳しくお伝えさせて下さい。

(DCF法に関しての記事はコチラ 【総論】企業価値算出方法ーインカムアプローチー①DCF法 )

 

○収益還元法

収益還元法とは、

「毎年の予想平均利益が「毎年一定」と仮定し、これを市場金利などを加味した「資本還元率」という指標で割り引いて株価を算出する方法」

になります。

一見DCF法と同様の定義と考えられるかもしれませんが、

DCF法との大きな違いとしては、DCF法の評価基準は「キャッシュフローの変動性」を予測する一方、

収益還元法は「将来の利益も現在と同じである」と仮定しているところにあります。

ですので、DCF法と比較するとフレキシブルに計算がされにくいという点がある一方、

収益還元法はシンプルに計算することができる、ということがメリットになります。

収益還元法は経営が安定しており、毎年の収益の変化も少ないような事業においては収益還元法が有効活用されるということになります。

(ベンチャー企業の事業価値算定では、将来の利益が大きく変化するためDCF法が有効とされます。)

 

・収益還元法の計算方法

先ほど申し上げた通り、収益還元法は、DCF法をシンプルにしたような計算方法です。

DCF法のフリーキャッシュフローに該当する箇所に、一定の「予想平均利益」という数字を入れ込み、

「資本還元率」という数字を利用します。

この資本還元率は、市場金利や評価対象の企業における調達金利などに、対象企業を取り巻くリスクである「危険率」を加味した数字です。

これらを利用して、以下のような計算式で株価を求めます。

「事業価値=予想平均利益 ÷ 資本還元率 」

事例として、5000万円の年間利益を創出している事業で、資本還元率が10%とされた場合の計算式です。

5,000万円(予想平均利益)÷ 10%(資本還元率)= 5億円

先ほど「予想平均利益」が続いていく仮説を採用すると書きましたが、

この予想平均利益というのは、今までの過去の売上や利益をベースにして計算されます。

経営の客観的事情を考慮し、成長の可能性を織り込みつつ評価することは可能ですが、

結果的に大きく数字が変わることも考えられるという見方もあります。

特に、特殊要因が絡み合い一時的に評価が増減している場合は、評価がより慎重になってきます。

上記の計算式で申し上げておりました「利益」というのも、

重要な営業外損益がある場合を除き、税引き後営業利益を活用することが一般的です。

 

以上、収益還元方に関するコラムでした。

 

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